神の降臨現場(寄稿:鈴木良一)

氷の花火

 
秘かに憧れていた人が映画になって公になるのはどこか面映ゆい。「花椿」で美しいと感じた人に安達瞳子山口小夜子がいる。「花椿」は母の持ち物だった。山口小夜子を見るのは、「覗き見る」だった。様々な幼少年体験から禁じられたものを見る怖れと喜びが綯い交ぜになって見ていた。

2005年7月15日(金)、私はNoism05の「Triple Bill」を見るため、りゅーとぴあの1階11列15番に座っていた。ステージが始まる直前、右手後ドア5から幻のような白光が射してきた。「うわぁ~、きた。山口小夜子だ」と総毛だった。オーラ。山口小夜子はオーラを放って着席した。

初めてオーラを見た。オーラを全身にまとった山口小夜子。それはあたかも私には神の降臨現場に居合わせたように感じられた。会場の誰も予期していなかっただろうと思う。

「Triple Bill」の1本、黒田育世 構成・演出・振付の「Last Pie」の衣裳デザインを山口小夜子さんが担当していたのだった。当日のチラシに告知されていた。私は万が一にも山口小夜子を見かけることがあるかもしれないとの期待をしていた。嬉しかった。覗き見るしかなかった遠い美の権現を直に見られた、神様の贈りもの。

その人を映像で誰はばかることなく鑑賞できる。良い時代だ。「Last Pie」の金森穣のダンスは今も目に焼き付いて離れない。山口小夜子の衣裳ともども再演を期待する。

鈴木良一(シネ・ウインド座付き詩人。月刊ウインドにコラム「どこにも無い場所」連載中)

Noism05_TripleBill_Kuroda